見えない道を進む ノーズへの挑戦

 2023年のGWにヨセミテに行ったときエル・キャピタンをみた。クライマーなら誰しもがこれを登りたいと思う。例外なく自分もそうだった。やはりクライマーなんだろう。とはいうもののビッグウォールなんて見たこともやったこともないし現実離れしており数年後くらいに挑戦できればいいや、くらいに思っていた。しかしチャンスは思っていたよりも早くきた。ノーズに挑むにあたって障壁はいくつもある。その中で一番大きいものはやはりパートナーだろう。ヨセミテに一緒に行った強強若者クライマーに探りを入れてみたところ興味はありそうだった。でも彼はその強さゆえに通常の3〜4日ではなく、1〜2日を目指しているようだ。今の自分にその力はなく断念。ノーズのパートナーとしての必要条件は2つだけ、ノーズを登りたいという気持ちがあること、そして実際に来てくれることだ。エル・キャピタンは有名なだけあって興味があるというクライマーは自分のまわりにも意外と多い。だが悲しいかな社会人クライマーの性だろう、その殆どは休みが取れないという。そういう背景もあり難航するかと思われたパートナー探しだったが、思いの外はやく解決することになった。

 そうしてパートナーがみつかり、2023年の10月くらいから少しずつ準備をはじめる。とはいってもトレーニングの最有力候補の小川山、瑞牆はすぐにシーズンアウトするし情報収集と必要な装備揃えがメインとなった。年が明けて春から本格的なトレーニングの開始と思ったが3月に自分が怪我をして、結局はじまったのは5月末のことだった。そこから荷揚げ、マルチ継続、ユマール、エイド、クラックなどなど考えうることをやってきた。荷揚げやマルチ継続は体力的、精神的に辛くて毎週瑞牆まで行くのも憂鬱になっていたけどなんとか継続することができた。まだまだ先のことと思っていたノーズの挑戦までついに1ヶ月をきった。

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 ノーズに何が必要かはウェブの記録や先人の話、トポなどをみて概ね把握できた。たがそれで十分かはわからない。今、自分たちがやっていることで足りているのか、何が見落としはないのか。行程が近くなるほど不安になる。見えない道を進んでいる。自分たちの現在地はどこなのか、それは実際に壁に入るまでわからないのだろう。

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